ラガービールは、下面発酵酵母を使用し、低温でじっくり発酵・熟成させるビールのスタイルと言って差し替えないと思います。ラガーという名称は、ドイツ語の「Lager(貯蔵)」に由来し、伝統的に冷涼な環境で長期間熟成されてきました。
下面発酵酵母としてサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)が通常使われ、10℃前後の低温でも発酵可能です。他の微生物はこの発酵温度帯での繁殖が難しく、クリーンでスムースな味わいと安定した品質に歴史的に貢献してきました。
昨今ラガービールは、ビール市場の大部分を占めるほど世界的に人気があります。一般的にはビールと言えば「ピルスナー」に該当していることが多く、クラフトビール界では、ややコクのある「ミュンヒナー・ヘレス」、濃色で香ばしい「デュンケル」、アルコール度数高めの「ボック」などが広く楽しまれています。
ラガービール全般特徴として、上面発酵のエールビールに比べてフルーティーなエステルは少なく、モルトやホップの風味がクリアに感じられることが挙げられます。この一方、極めて微かに硫黄臭を感じられる場合もあり、特徴の一つと言えるかもしれません。