スムージーサワー(Smoothie Sour)は、クラフトビールの中でもユニークで比較的新しいスタイルの一つであり、濃厚な果実感と甘みや酸味、クリーミーでリッチな口当たりが特徴です。フルーツピューレが大量に使用されることが多く、まるでスムージーのような高密度な質感を持ち、デザート感覚で楽しめるビールとして人気を集めています。
スムージーサワーの誕生と発展
スムージーサワーは、伝統的なサワービール(酸味のあるビール)をベースにしながら、近年のクラフトビールブームの中で進化を遂げたスタイルです。そのルーツは、もしかしたらベルリナーヴァイセやゴーゼなどの伝統的なサワービールにあるのかもしれませんが、現代のブルワリーはこれに大量のフルーツピューレ、乳糖(ラクトース)、甘い風味のスパイス(バニラやカカオ等)を加えることで、よりリッチでスムージーのようなテクスチャーに仕上げています。
特にアメリカのクラフトビールシーンにおいて、2010年代後半から人気が高まり、様々なブルワリーが次々とユニークなスムージーサワーをリリースしました。その後、世界中のクラフトブルワリーがこのスタイルを取り入れ、各国・各地域の特産のスイーツ等とも融合され、多様なフレーバーのスムージーサワーが続々登場しています。
スムージーサワーの特徴
スムージーサワーには、以下のような特徴があります。
- 外観
- 非常に濁りのあるビジュアル
- 鮮やかなフルーツカラー(マンゴーイエロー、ベリーレッドなど)
- 香りと味わい
- 濃厚なフルーツの香り(マンゴー、パッションフルーツ、ベリー、ピーチなど)
- クリーミーな口当たりとフルーツジュースのような味わい
- もしくは、フルーツ組織のテクスチャーを楽しめるマウスフィール
- 伝統的なサワービールほどの強い酸味はなく、甘味と調和される傾向
- 製法の特徴
- 適度な酸味を表現するため、乳酸発酵が利用される傾向
- 発酵後に大量のフルーツピューレを加え、自然な甘味と濃厚な口当たりを実現
- 甘い風味のスパイスや乳糖(ラクトース)を加えて風味を調整する場合も
- 健全な発酵もしくはビール(発泡酒)カテゴリと称するためにホップを使用
スムージーサワーの魅力と注意点
スムージーサワーは、ビール初心者や酸味が苦手な人でも楽しみやすいスタイルであり、まるでフルーツスムージーやカクテルを飲んでいるかのような感覚を味わえます。
ただし、スムージーサワーは通常のビールと異なり、フルーツピューレが多く含まれているため、保存方法には注意が必要です。冷蔵保存が必須とされており、発酵が進むと炭酸が強くなるため、取り扱いには注意を要します。
スムージーサワーは、クラフトビールの新しい可能性を広げるスタイルとして、今後も進化を続けることでしょう。フルーツの組み合わせや製法の工夫によって、多様な味わいが生まれ、さらなる進化や醸造の新たな解釈を期待されています。