醸造酒とアントシアニン

アントシアニンは、主に赤色や紫色の色素として存在し、飲料の色合いに影響します。特に赤ワインで顕著ですが、一部のビールや日本酒にも含まれます。

アントシアニンの由来

  • ワイン:赤ワインの色は、ブドウの果皮に豊富に含まれるアントシアニンが抽出されることで生まれます。ブドウ品種によってアントシアニンの種類や量が異なり、ワインの色調にも微妙な差異をもたらします。
  • ビール:ベリー類などの果物を副原料として使用することで、アントシアニンがビールに移行し、赤色やピンク色のビールが醸されます。
  • 日本酒:古代米の黒米はアントシアニンを有し、ピンク色の日本酒を醸造できます。

醸造中の化学的変化

  • 抽出:糖化や発酵の過程で、アントシアニンは原料から麦汁や醪(もろみ)へと抽出されます。抽出効率は、温度、pH、アルコール濃度等に左右されます。
  • pHによる変色:アントシアニンはpHによって色調が変化する性質を持ちます。酸性条件下では赤色を呈しますが、pHが上昇すると青色や紫色に変化します。ワインや多くの醸造酒は酸性のため、赤色系に呈色します。
  • 亜硫酸塩との反応:ワインの醸造工程等で微生物汚染や酸化抑制として使用される亜硫酸(SO₂)は、アントシアニンと結合して色を薄める可能性があります。
  • タンニンとの結合:(特にワインにおいてブドウ由来の)タンニンとアントシアニンが結合することで、アントシアニンの色調がより安定化します。
  • 重合反応:アントシアニン同士が重合し、より安定した色素へと変化することがあります。
  • 酵母の影響:酵母の代謝活動による多糖成分がアントシアニンを取り込み、アントシアニンを安定させる可能性が示唆されています。

金属イオンとの錯形成:鉄やアルミニウム等の金属イオンとアントシアニンが結合することで、その色調は変化します。

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