ボトルコンディション(瓶内二次発酵)において、プライミングシュガー量によって発生する二酸化炭素(CO2)の重量、そして上昇するアルコール度数(ABV)について、再度まとめてご説明します。
ボトルコンディションによるアルコール度数の上昇は極めて微量ですが、酒税法上もともとのノンアルコールビールのアルコール度数と併せてアルコール度数は1%未満に調整します。
酵母によるブドウ糖の発酵反応
嫌気条件の酵母がブドウ糖(グルコース/デキストロース)を資化する化学反応は以下の通りです。
C6H12O6(ブドウ糖) → 2C2H5OH(エタノール) + 2CO2(二酸化炭素)
- 分子量
- ブドウ糖一水和物(C6H12O6・H2O):約198g/mol
- エタノール(C2H5OH):約46g/mol
- 二酸化炭素(CO2):約44g/mol
この反応から、以下の関係が導き出されます(ブドウ糖一水和物に由来する水(H2O)は無視しています)。
ブドウ糖(一水和物)1g → 二酸化炭素0.44g + エタノール0.46g
炭酸レベルとブドウ糖量、発生CO2量、上昇ABVの目安
以下の表は、最終的に求める炭酸レベル(ガスボリューム)から逆算した、1リットルあたりのブドウ糖量、発生するCO2の重量、そしてその結果として上昇するアルコール度数(ABV)の目安です。
炭酸レベル | ブドウ糖量(g/L) | 発生CO2量(g/L) | 上昇アルコール度数(ABV) |
微炭酸 (0.5 vol.) | 2.3 | 1.0 | 0.13 % |
弱炭酸 (1.5 vol.) | 6.8 | 3.0 | 0.39 % |
炭酸 (2.5 vol.) | 11.4 | 5.0 | 0.66 % |
強炭酸 (5.5 vol.) | 24.6 | 10.8 | 1.41 % |
各項目について
- (プライミング)ブドウ糖量(g/L)
- 目的とする炭酸レベルを達成するために必要なブドウ糖の量です。
- 「ビター」のような低いガスボリューム(0.8〜2.4 vol.)を目指すのであれば、1リットルあたり3g程度のブドウ糖から試します。
- 発生CO2重量(g/L)
- 投入したブドウ糖が完全に発酵した場合に生成されるCO2ガスの総重量です。
- 上昇アルコール度数(ABV)
- プライミングシュガーの発酵によって新たに生成されるアルコールの量です。もともとのノンアルコールビールのアルコール度数に加えて1%未満に調整します。