甘酒は飲む点滴とも呼ばれ、米由来のブドウ糖、ビタミンB群、アミノ酸等の栄養素が豊富に含まれています。製造方法の違いで大きく2タイプあります。
- 米麹甘酒:米と米麹を発酵させて作るアルコール度数0%の甘酒。麹の酵素がお米のデンプンを糖に分解することで穏やかな甘さが生まれます。本稿ではこの製法を紹介します。
- 酒粕甘酒:酒粕を水で溶いて砂糖を加えて作る微量のアルコールを含む甘酒。砂糖等で甘さを調整します。
炊飯器で作る甘酒の基本レシピ
材料
- ごはん:200g(0.6合程度)
- 米麹:200g(生麹もしくは乾燥麹)
- 水:300〜400mL(乾燥麹の場合は多めに)
あると便利な用具
- 清潔な布巾またはタオル
- ヨーグルトメーカー(炊飯器の代替として)
- 温度計(正確な温度管理のため)
作り方
- ごはんの準備
- 炊いたごはんを炊飯器の内釜に入れます。もし冷やご飯を使う場合は、温めてから使用すると以降の温度調整に掛かる時間を短縮できます。
- ごはんをしゃもじ等で軽くほぐし、固まりをなくします。
- 水を混ぜて温度調整
- 60℃程度に温度調整したお湯(300〜400mL)をごはんに加え、撹拌します。
- もし熱すぎる場合は、水を足しながら60℃程度に調整します。
- 米麹を投入
- 米麹を加え、ダマにならないようによくほぐしながらごはんと混ぜ合わせます。
- 混ぜながら温度計で60℃程度になっているか確認します。
- 70℃を超えると麹の酵素が失活するので注意します。
- 炊飯器で保温
- 内釜を炊飯器に戻します。
- 炊飯器を60℃または保温モードに設定します。
- 温度調整ができない場合は、内釜の上に清潔な布巾やタオルをかけ、蓋を少し開けておき、温度が上がりすぎないようにします。
※注意点:炊飯器の保温温度は通常70℃前後ですが、麹菌の酵素が最も活発に働くのは55〜60℃です。70℃を超えると酵素が失活して甘くならないため、電源を切るもしくは蓋をずらす等の操作で温度を60℃前後に保つのがポイントです。
- 発酵
- そのまま6〜10時間保温し続けます。
- しゃもじ等で数時間に全体の温度が均一になるよう撹拌すると、発酵が円滑に進みます。
- 徐々にごはん粒が溶け、甘い香りがし始めます。
- 保存
- 好みの甘さで保温を止め、粗熱を取ります。
- 清潔な保存容器に移し替え、冷蔵庫で保存します。冷蔵庫で1週間〜10日程度保存可能です。冷凍すればさらに長く保存できます。
甘酒作りのポイントとアレンジ
- 温度管理
- 55〜60℃が麹菌の酵素が最も活発に働く温度です。
- 70℃以上になると酵素が失活し、デンプンが分解されません。
- 50℃以下だと、望まない雑菌が繁殖しやすく、酵素の働きも鈍くなり、品質が低下する原因になります。
- 麹の種類:米麹は黄麹が一般的ですが、クエン酸量の多い白麹を利用することで酸味の付与も可能です。乾燥麹は生麹と比較し、酵素が失活していると考えられ、糖化に時間を要するかもしれません。
- 多様な食材:そのまま温めて麹の酵素反応を利用することで、果実、スパイス、ハーブ等の風味も変化させられると考えられ、様々な応用が期待できます。