ビールのアルコール度数は、香りや味わいに大きな影響を与えます。一般的に、アルコール度数が高いほど発酵に伴う香気成分(エステル類やフェノール類など)が多くなり、複雑な風味が感じられます。
アルコール度数別の香気成分の特徴
- 低アルコールビール(0.5〜3%):香りは軽やかで、ホップのフレッシュな香りが前面に出やすくなりますが、麦芽のコクは控えめです。ノンアルコールビールでは、香気成分の生成が少ないため、麦汁やホップエキスなどで香りを補います。
- 中アルコールビール(4〜6%):ピルスナーやペールエールなどが代表的で、ホップの苦味とフルーティーなエステル香のバランスが特徴です。発酵過程でエステルがリンゴやバナナのような香りを生み出します。
- 高アルコールビール(7%以上):IPA、スタウト、バーレイワインなどは、発酵により多くのエステルやアルコール由来の香気成分が生成され、フルーティー、スパイシー、キャラメルのような複雑な香りが楽しめます。
香気成分の主な種類
- エステル類:発酵時に酵母が生成するフルーティーな香り(例:リンゴ、バナナ)。
- フェノール類:主にベルギービールに多く、クローブやスモーキーな香りを生み出します。
- ホップ由来のテルペン類:柑橘系、松、ハーブの香りが特徴です。
特に、ホップ由来のモノテルペンアルコールであるリナロールやゲラニオールは、ビールの香りに大きく寄与します。(katosei.jsbba.or.jp) また、アルコール度数が高いビールは、エタノール濃度が高いため、ホップの香気成分をより多く取り込むことができます。(note.com)
このように、アルコール度数は香気成分のバランスを大きく左右し、ビールの個性を決定づけます。