Hazy IPAの最大の特徴のひとつが、その名前の通り「濁り(Haze)」です。この濁りは、単に見た目の違いを生むだけでなく、ビールの口当たりや風味にも大きな影響を与えています。では、Hazy IPAの濁りはどのようにして生まれ、どんな役割を果たしているのでしょうか。
濁りの要因
Hazy IPAの濁りは、主に以下の要素によって生じます。
- オーツ麦や小麦の使用
- 一般的なIPAでは大麦麦芽が主に使われますが、Hazy IPAではオーツ麦や小麦も使用されます。これらの穀物はタンパク質を豊富に含んでおり、ビールに濁りに関与します。
- また、オーツ麦や小麦のタンパク質は柔らかくクリーミーな口当たりをビールに付与する、Hazy IPAのジューシーで滑らかな飲み心地に貢献しています。
- ホップの大量使用(ドライホッピング)
- Hazy IPAは、発酵後期や発酵終了後にホップを大量に投入する「ドライホッピング」を多用します。
- ホップの精油成分やポリフェノールがビール中のタンパク質と結合し、濁りを生み出します。特に、ホップを高温ではなく低温で加えることで、苦味を抑えつつアロマによりフォーカスすることができます。
- 酵母の影響
- Hazy IPAには濁りを保持しやすい酵母が使用される傾向にあります。これらの酵母は完全に沈殿せず、ビールの中に長くとどまることで濁りを維持します。
- 酵母由来のエステル(果実のような香り)もHazy IPAのトロピカルな風味に寄与しています。
濁りの役割とメリット
Hazy IPAの濁りには、見た目以上の重要な意味があります。
- 風味の向上: 濁りの原因となる成分は、フルーティーでジューシーな風味を高める要素でもあります。スタイルの特徴上濁りを残すため、濾過はされない(もしくは最小限にとどめられる)ため、風味を豊かに感じられるとい言えるかもしれません。
- 口当たりの向上: タンパク質やオーツ麦、小麦の影響で、従来のクリアなIPAよりも滑らかでクリーミーなマウスフィールになります。
- 苦味のバランス: Hazy IPAはホップを大量に使用するものの、濁り成分が苦味を和らげ、飲みやすく仕上げてくれます。(もともと低い傾向にありますが)IBUよりも苦みを感じない傾向にあります。
このように、Hazy IPAの濁りは単なる外観の特徴ではなく、ビールの風味、口当たり、飲みやすさに深く関わる要素となっています。