飲酒が人体に与える長期的なリスク

長期間にわたる飲酒は、身体や精神にさまざまな悪影響を及ぼします。特に、肝臓・消化器系・心血管系・脳・精神面・がんリスクなど、多くの健康リスクが知られています。

1. 肝臓へのダメージ

アルコールは肝臓で分解されますが、大量の飲酒が続くと肝臓に過度な負担がかかります。その結果、脂肪肝・アルコール性肝炎・肝硬変・肝がんへと進行するリスクが高まります。肝硬変になると肝機能が低下し、黄疸や腹水、意識障害(肝性脳症)を引き起こすこともあります。

2. 消化器系への影響

飲酒は胃や腸、膵臓にも悪影響を与えます。慢性胃炎や胃潰瘍、膵炎の原因となり、膵臓へのダメージが蓄積すると糖尿病のリスクも高まります。また、食道がん・胃がん・大腸がんの発症リスクも増加します。特に、日本人を含むアジア人はアルコール分解酵素(ALDH2)が弱いため、食道がんのリスクが高くなりやすいとされています。

3. 心血管系への影響

長期的な飲酒は、高血圧・動脈硬化・不整脈・心筋症などのリスクを高めます。特に、高血圧の状態が続くと脳卒中や心筋梗塞の危険性が増加します。アルコールが血管を拡張させる影響で、一時的には血圧が下がることがありますが、慢性的な飲酒は逆に血圧を上昇させます。

4. 脳や精神への影響

アルコールは脳にもダメージを与えます。長期的な飲酒は記憶障害や認知症のリスクを高め、特に「アルコール性認知症」と呼ばれる病気の原因になります。また、うつ病や不安障害を悪化させることがあり、アルコール依存症になると飲酒をやめられなくなり、生活や人間関係に深刻な影響を及ぼします。

5. がんのリスク

世界保健機関(WHO)はアルコールを「グループ1の発がん性物質」に分類しており、飲酒が食道がん・咽頭がん・肝がん・乳がん・大腸がんのリスクを高めることが確認されています。特に、女性の場合は少量の飲酒でも乳がんリスクが増加するとされています。

6. 免疫力の低下

アルコールは免疫機能を低下させ、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなります。また、長期間の飲酒は白血球の働きを弱め、病気に対する抵抗力を下げるため、健康維持が難しくなります。

結論

適量の飲酒ならば大きな問題はないとされていますが、長期間の過度な飲酒は健康リスクを高めるため、飲酒量の管理が重要となります。

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