クラフトビールの風味の濃淡は、多様なビアスタイルを語る上で重要な要素です。風味の濃いビールは、口にした瞬間のインパクトが強く、余韻も長く残る傾向があります。一方、風味の薄いビールは、口当たりが軽快で、ゴクゴクと飲める爽快感が特徴です。
風味の濃さを決める主な要素は、原材料、製法、そしてアルコール度数です。
風味を濃くする要素
- 濃色麦芽: ローストした麦芽は、カラメルやチョコレート、コーヒーのような複雑な風味と色合いをビールに与え、濃厚な印象にします。
- 大量のホップ: 特にアロマホップを多く使用すると、柑橘系やトロピカルフルーツのような華やかな香りが際立ち、風味が強く感じられます。苦味も強度を増し、全体的に味が引き締まります。一方、ホップ特有の辛みも強まる傾向にあり仕上がりバランスのコントロールを求められます。
- 高アルコール: アルコール度数が高いビールは、口に含んだ時の重みや、後からくる温かさ、風味の持続性において、濃さを感じさせます。
- 副原料: フルーツ、スパイス、コーヒー、チョコレートなどの副原料を加えることで、既存の風味に加えて新たな風味が加わり、複雑で濃厚な味わいになります。
風味をライトにする要素
- 淡色麦芽: ピルスナー麦芽のような淡色麦芽は、麦の風味は穏やかで、クリアで軽快なビールを生み出します。
- ホップ控えめ: ホップの使用量を抑える、投入タイミングを後ろめにずらす、または苦味の少ないホップを使用することで、苦味や香りが穏やかになり、飲みやすいビールになります。
- 低アルコール: アルコール度数が低いビールは、口当たりが軽く、ゴクゴク飲めて、後に残る風味が少ないため、全体的に薄味に感じられます。
- クリアな製法: 大手のラガービール等の、低温でじっくりと発酵・熟成させ、濾過を丁寧に行うことで、雑味の少ないクリアなビールとなり、風味が洗練され、軽やかな印象になります。
代表的なビアスタイルで例えると、
- 濃い風味: インペリアルスタウト、バーレイワイン、ダブルIPA、ベルギーのストロングエールなど
- ライトな風味: ピルスナー、アメリカンラガー、セッションIPAなど
ただし、風味の濃淡はあくまで主観的な評価であり、個人の好みによって感じ方は大きく異なります。また、同じビアスタイルでも、醸造所や銘柄によって風味の濃淡は様々です。