ドライアイスを使ってノンアルコールビールに炭酸を付与する方法は、家庭でも可能ですが、安全への配慮が重要です。ドライアイスは非常に低温で、気化すると体積が大きく膨張するため、凍傷や容器の破裂による怪我のリスクがあります。
⚠️ 注意点 ⚠️
- 密閉容器は使用しない:ドライアイスが昇華(固体から直接気体になる状態変化)すると、体積が約750倍に膨らみます。ペットボトルやガラス瓶等の密閉容器に入れると、高圧で破裂する可能性があり、大変危険です。 必ず、圧力を逃がす構造を有する容器を使用します。
- 直接手で触れない:ドライアイスの温度は-78.5℃と極めて低いため、素手で触ると凍傷になります。断熱仕様の厚手手袋を着用します。
- 換気を十分に行う:ドライアイスは二酸化炭素(CO2)ガスを発生させます。CO2は空気より重く、密閉された空間では床付近に滞留します。酸欠を回避するため、作業中は換気を徹底します。
用意するもの
- ノンアルコールビール:炭酸を付与したいノンアルコールビール(またはそれに準ずる飲料)。
- ドライアイス:少量のブロック状またはペレット状のもの。食品グレードのものを選ぶ。
- 耐圧性の高い容器:ビール醸造用のケグ(樽)、または圧力を逃がせる蓋つきの頑丈な容器(例:ソーダサイフォン、一部の炭酸飲料対応の水筒等)。密閉できない容器は泡がすぐに抜けるため不向きですが、密閉できる容器は破裂の危険があるため、圧力を逃がせる構造がある容器を選択する。
- 厚手の手袋:凍傷防止のため。
- トングまたは厚手のスプーン:ドライアイスを扱うため。
- キッチンはかり:ドライアイスの重量を測るため。
- 換気の良い場所:酸欠を回避するため。
ドライアイスの参考量
正確な量は、液体の温度、容器の密閉度(安全に圧力を逃がす)、求める炭酸の強さ、そしてロス(昇華して液体に溶けずに逃げてしまう分)によって変動します。目安は以下の通りです。
- 1リットルの液体に対して(ドライアイスでの調整ではロスが発生します)
- 微炭酸(弱めの炭酸飲料):1g/L
- 中程度の炭酸(一般的なビール):5g/L
- 強炭酸(シャンパーニュ等のスパークリングワイン):12g/L
手順と重要点
- 少量から試す:最初から大量に入れると、急激なガス発生や凍結、思わぬ圧力上昇で危険です。まずは5g/L程度を目標に数g/Lから始め、炭酸が足りなければ、少量を追加しては様子を見る、というサイクルを繰り返します。
- 液体は極力冷やす:液体が冷たいほど二酸化炭素の溶解度は上がりますので、ノンアルコールビールは冷蔵庫等で冷やしてから調整します。
- 圧力は安全に逃がす:ドライアイスの使用は、圧力を安全に管理・解放できる器具を使うのが最も安全です。密閉されたペットボトルやガラス瓶は、破裂の危険があるため使用は避けます。
- ゆっくり溶かす:ドライアイスを入れたら、容器を静置し、溶解を促します。
- ロスの考慮:ドライアイスは常温では昇華し続けるため、液体に入れても一部は溶けずに気泡として逃げてしまいます。そのため、実際に液体に溶け込むCO2の量は、投入量よりも少なくなります。
リスクを理解し、安全対策を徹底できる場合にのみ、お試しください。安全性と簡便性を考えると、家庭用炭酸水メーカー(ソーダストリーム等)の使用が推奨されます。