Hazy IPAの酸化防止目的でのビタミンC(アスコルビン酸)の利用を考察します。アロマにフォーカスされるHazy IPAは特に酸化に影響を受ける傾向があります。推奨量は、醸造規模や目指す効果、ビールのスタイル、そして他の酸化防止対策の有無によって異なります。
ビタミンCの役割
抗酸化作用:アスコルビン酸は酸素を捕捉し、酸化反応を防ぐことで、ビールの風味劣化(紙のような風味、シェリー様の風味、ホップアロマの劣化等)を抑制します。
Hazy IPAにおける推奨量のアイデア
ビタミンCの推奨量は、通常は非常に少量です。過剰な添加は、風味に影響を与える可能性があるため、慎重に調整する必要があります。
前提
- 一般的に使用されるのはL-アスコルビン酸(食品添加物グレード)。
- 1mg単位で計量できるスケールが望ましいです。難しい場合は、麦汁やビールで希釈して添加する方法もあります。
1. 小規模醸造(例:20リットル仕込み)の場合
- 推奨範囲:0.2g 〜 1.0g / 20L
- 大規模醸造と比較し酸化のリスクが高いため、使用量が多めになり得ます。
- ビールのpHや風味に影響を与える可能性があります。
2. 大規模醸造の場合
- 麦汁1リットルあたり:5 mg/L 〜 50 mg/L (0.005 g/L 〜 0.05 g/L)
- アロマ重視のHazy IPAでは多めに設定します。
3. 添加タイミング
ビタミンCは熱に弱いため、添加タイミングは以下が考えられます。
- 発酵終盤:発酵がほぼ終わり(CO2発生量が緩やかになり)、最終比重に近づいた頃。
- ドライホップ投入時:ドライホップ投入の直前または同時に加えることで、ドライホップ中に混入する微量の酸素からホップアロマの酸化を防ぎます。
- 熟成タンクから瓶詰め・ケグ詰めへの移送直前:最も酸化のリスクが高い工程のため、充填中の酸素混入による劣化を最小限に抑えます。
添加方法
ビタミンCの添加量が少量のため、そのまま投入すると均一に混ざりにくい可能性があります。
- 少量の冷水(麦汁やビール等)に溶かしてから、ビールに混和する。
- インラインで添加するシステムがあれば、それを利用する。
注意点
- 過剰添加:アスコルビン酸の添加量次第では、ビールの酸味バランスが崩れる可能性があります。
酸化防止対策:アスコルビン酸はあくまで一つのツールです。低溶存酸素醸造の実践が最も根本的な対策であり、アスコルビン酸はその補助的な役割として使用すべきです。