甘酒が濁る理由

甘酒の濁りは、主に米のデンプンと、米麹によってデンプンが分解されたデキストリン、そして未分解の微細な米粒が原因です。これらが水中に均一に分散したコロイドの状態になることで、濁りが生じます。

濁りのメカニズム

甘酒の製造過程における濁りの形成は、以下の化学物質と物理的現象によって説明できます。

1. デンプンの糊化と分散

甘酒の主原料である米は、炊飯によってデンプンが糊化(α化)し、水分を吸収して膨潤します。麹を加えて保温すると、麹の酵素(アミラーゼ)がこの糊化デンプンを分解しますが、分解は完全には進みません。その結果、完全に溶解しきれなかった微細なデンプン粒子が水中に残り、これが濁りの主要な原因となります。

2. デキストリンの生成

麹のアミラーゼは、デンプンを最終生成物であるブドウ糖に分解する前に、中間生成物としてデキストリンを生成します。デキストリンはデンプンよりも分子量が小さい多糖類ですが、まだ水に完全に溶けきらないものも多く、甘酒のとろみと濁りに寄与します。

3. 米粒の微細な粒子

甘酒は、炊いた米を完全にすりつぶすわけではなく、米粒の形が残っている状態で通常利用されます。この米粒が、酵素分解によって崩壊し、非常に小さな粒子となって水中に浮遊します。これらの微細な粒子が光を散乱させることで、甘酒は白く濁って見えます。

濁りの安定性

甘酒の濁りは、Hazy IPAの濁りと同様に、主に物理的なコロイドの分散によって安定化されています。

粘度:麹菌が生成する酵素は、デキストリンやペクチンなどの多糖類を生成し、これが甘酒全体の粘度を高めます。液体の粘度が高いと、重い粒子(未分解の米粒等)の沈降速度が遅くなり、濁りが持続しやすくなります。

コロイド安定化:デキストリンやタンパク質は、微細な粒子を覆うように存在し、粒子同士が凝集して沈殿するのを防ぎます。これにより、濁りが長期間にわたって均一に保たれます。

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