麦芽未使用時のオーツ利用方法(Hazy IPAテイスト)

麦芽不使用でオーツ麦(オートミール)のタンパク質をHazy IPAテイスト飲料に溶かし込む方法の考察です。これは、濁りと口当たり、ボディを出す上で非常に重要なポイントです。通常の醸造では麦芽の酵素を利用しますが、アルコール度数1%未満の場合は、主に加熱と撹拌に依存することになり、オートミールを粥状に調理する過程に似ています。

オートミールの選定

  • 推奨:タンパク質やデンプンが水に溶出し易いインスタントオーツ(調理乾燥済ロールドオーツ)またはクイックオーツ(ロールドオーツ破砕品)。
  • 非推奨:未調理のスチールカットオーツ(挽き割りオーツ)やロールドオーツ(押麦状オーツ)は、加熱時間が長くなる可能性があります。

手順の概要

  1. 水の準備:鍋に目的の最終液量に対して、適切な量の水を入れます。
  2. オートミールの投入
  • 水が冷たいうちから、オートミールがだまにならないよう少しずつ加え、必要であれば適度に混ぜます。
  • オートミールの量:Hazy Pale Aleを参考にした場合、最終液量1リットルあたり30g〜50g程度のオートミール使用量が目安です。多いと粘性が高くなり、液体の回収が困難になる可能性があります。その他参考として、Oat Cream Hazy DIPAの場合でオーツの使用量は10%(w/v)程度です。
  1. 煮込みと撹拌
  • 弱火〜中火で加熱し、焦げ付かないように撹拌しながら、オートミールが柔らかくなり、液体がとろみを帯びるまで煮込みます。 10分〜20分程度の煮込みが目安ですが、オートミールの種類や状況によって調整します。
  • この煮込みと撹拌の工程で、オーツに含まれるタンパク質(主にβ-グルカンと結合した形態や遊離タンパク質)が熱と水分の作用で細胞壁から溶出し、液体中に分散します。β-グルカンも溶出し、Hazy IPAの濁りと口当たりに寄与します。
  1. 冷却:煮込みが終わったら、速やかに冷却し、デンプンの糊化を防ぎます。

3. タンパク質移行を助けるポイント

  • 細かく砕く(推奨): もしインスタントオーツでないロールドオーツを使う場合は、フードプロセッサーなどで細かく砕いておくと、水との接触面積が増え、溶出が促進されます。
  • 撹拌:加熱中は特に、沈殿や焦げ付きを防ぎつつ、タンパク質が均一に溶出するように適時撹拌します。
  • pH調整:タンパク質の溶解度はpHに多少は影響を受けますが、最終的な風味も考慮し、一般的な醸造用水のpHで問題ないと考えられます。

4. その後の工程への影響と注意点

  • 濾過の難易度:オートミールを多量に使うと、β-グルカンなどの粘性物質が溶出するため、濾過が困難になる可能性があります。煮沸前に粗い目のストレーナーで濾過するか、メッシュバックを利用する等の工程が必要かもしれません。
  • 残糖とボディ:オーツから溶出するデンプンは、麦芽酵素がないため酵母が資化可能な糖には分解されません。これは「未発酵糖」としてビールに残存し、ボディと甘みに寄与します。
  • ヘイズの安定性:オートミール由来のタンパク質やβ-グルカンとホップポリフェノールなどが複合的に作用し、濁りを形成します。
  • 酵母の選択:オートミール由来のデンプンは、一部のセゾンイースト等(Saccharomyces cerevisiae var. diastaticus)は資化可能なため、これらの酵母の使用は避けます。

この方法で、麦芽酵素を使わずにオーツからHazy IPAに必要な成分を抽出し、スタイル特有の口当たりと濁りのベースの調整を狙います。

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